ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

絶望と絶望の狭間の絶望

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奇妙な建物に迷い込んでいた。人はいるが、全員、目の焦点があっていない。生きた人間の目をしていない。ここにいるのは危険だと思った。逃げなくては。出口はどこだ。階段がたくさんある。外界からの光は見えるが脱出できない。ひたすらわけもわからず逃げ回る。ヤバイ空気を感じて逃げ回る。ひとつの扉にわずかな希望を感じた。きっとあの扉から外に出られるはずだ。僕はその扉を目指しひたすら走った。

 

・・・なんとかこの奇妙な建物から脱出できたようだ。しかし、ここは・・・森の中?建物を真上から見下ろす。あれだけ階段を駆け巡ったはずなのに、上から見る建物は平屋のようにしか見えない。とにかくこの建物から離れよう。

 

ひたすら走る。森の中を走る。すると、1台のバスが見えた。幼稚園の送迎車のようなマイクロバス。運転手がいる。僕を待っているのか?助けるために僕を待っていてくれてるのか?マイクロバスの扉を開ける。運転手はこちらを振り向きもしない。突然乗ってきた僕にビックリするわけでも怒るわけでもない。無表情なまま彼は言った。

 

「助かったと思った?」

 

抑揚のない声で話しかけられる。この運転手、あの建物にいた連中よりもヤバイぞ。咄嗟にマイクロバスのドアを開け、転がるように脱出する。逃げなくては、この車からも逃げなくては。どうしたらいい?どうしたらいい?

 

飛べ!僕は飛べる。空を飛べる。パラグライダーで空を飛ぶように一気に目の前の丘を猛ダッシュする。タイミングを見計らい一気にジャンプ!あはは、僕は飛べた。空を飛べた。自由な鳥のように。建物やマイクロバスとの距離が一気に離れていく。

 

世界地図の上を僕は飛んでいる。インドネシア、南アフリカ、スペイン、アイルランド。自由に僕は空を飛んでいる。まるで神になったみたいだ。この世界は僕のものだ。でも、どこを目指して飛んでいるんだ?僕はどこに行けばいいんだ?そうだ、僕が目指すべきは日本だ。平和で誰からも自由を束縛されることのない日本に帰るんだ。

 

日本への入口が見える。トンネルになっている日本への入口。このトンネルを抜ければきっと日本に帰れる。いつもの生活に戻れるという希望を胸にトンネルへ飛び込む。入り組んでいる内部。どの道が正解なんだ?闇雲にトンネルを突き進む。あっ、あれがきっと日本への道だ。見たことのある誰かが手招きをしている。間違いない。まっしぐらにそこを目指す!

 

・・・僕は絶望した。そこでは戦争が行われていたのだ。この道を通らないと日本へは帰れない。モノクロの風景の中。ヘルメットを被り、銃を持った男たちが沢山いる。あちこちで空爆が行われている。どうしたらいいんだ。引き返そうにも引き返せない。どうしたら、どうしたら・・・。

 

悪いね、この話に結末はないんだよ。ここで目が覚めてしまったんだ。でも、絶望だらけの結末なんてないほうがいいに決まってる。キミもそう思うだろ?