ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

人の気持ちの移り変わり

いちょう

タクシー運転手に想う

丁寧に愛車を磨いているタクシー運転手がいた。ガソリンスタンドの一角である。時間は朝の7:30頃。仕事前の準備だろう。毎朝磨いているのだろうか。傍から見るその姿はとてもかっこいい。タオルを広げて、ゆっくり丁寧に黒いタクシーを磨く。きっとお客さんにも丁寧に対応しているのだろうと想像する。

  

客を迎えに行った先で車から出て直立不動で待機していたタクシー運転手を見たことがある。誰も見ていないのに。いや、僕が見ているか。客の姿が見えると一礼し、一言挨拶をし、後部座席のドアを開ける。常連客なのか一見さんなのか。いずれにしても、またこのタクシーを利用したいと思うだろう。

 

友達がちょっとした距離でもタクシーを使う人で、ある日、ワンメーターだけの乗車に付き合わされた。


「ご利用ありがとうございます。どちらまで?」

 

 「近くて申し訳ないんですけど…。」

 

愛想のよかったタクシー運転手はその近すぎる距離に一気に不機嫌になった。その後一言もしゃべらなかった。運賃を受け取るときも無言だった。ありがとうございましたの一言もなかった。そのタクシー運転手のみならず、タクシー会社のイメージも悪くなった。この件があってからは、そのタクシー会社を利用するのは避けている。

 

イチョウ並木に想う

イチョウ並木の横にクレーン車がいた。枝でも切るのだろうか。いや、違う。クリスマスの飾りつけをしているようだ。年々、さみしさを増していく我が街のクリスマス通り。中途半端な賑やかさがかえってさみしさを感じさせる。いや、しあわせな人には華やかに感じられるのかもしれない。僕だって、じゅうぶんしあわせさ。

 

「早いわねぇ、もうクリスマスだなんて。」


「すぐに正月がきて、二月三月はあっという間に過ぎて、また桜が咲くわよ。」

 

毎年恒例の会話だ。年々と時間のスピードは速くなっていく。誰かが時計の針を操作しているに違いない。

 

僕は銀杏にやられたことがある。うかつに触ってしまい、体中にアレルギーが出た。最初はなぜこうなったのかわからなかった。皮膚科に行き、「なにか心辺りはありませんか?」と問われ、「あ、そういえば、銀杏。」と思い出すまでに数日かかった。銀杏アレルギーは、見た目が酷くなる。酷いが会社を休むわけにもいかない。だいたいいつ治るかもわからない。意を決して会社に行く。

 

「どうしたの?大丈夫?」

 

大抵の人は心配してくれた。唯一、自分の上司だけが汚いものでも見るかのように顔を歪めた。あの顔と侮辱感を僕は今でも時々思い出す。