ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

苦手な人に親しみを込めて

ロッカー

どうしても苦手な人がいる。誰にでもきっと苦手な人はいるはずだ。行動がいちいち荒い。挨拶をしても返ってこない。常になにかに不満を抱えているようなしゃべり方をする。とにかく近寄りたくもないし、姿も見たくないし、言葉を交わすなんてとんでもない。同じ職場の人だ。仮にKさんとしておこう。

  

僕の机の横には共通のキャビネットがある。そこには業務に使用する様々なファイルが保管されている。たまにKさんがそのキャビネットを使うのだが、その開け閉めが実に荒い。締めるときなどは勢いに任せてバシャーーンと閉めるものだから、その音と振動にビックリする。僕の机が揺れるくらいの勢いで閉めるのだ。なぜゆえ?僕に対するいやがらせか?とも思ったが、どうやらそうでもないらしい。個人のロッカーを使用するときも、勢いをつけてバシャーーンと閉めるのだ。彼のクセなのだろうか?使われるロッカーがかわいそうになるくらいだ。

 

Kさんのロッカーは僕のロッカーの3つ隣にある。だから、朝などロッカーで出会うことがある。僕が異動してきたばかりの頃は、「おはようございます。」と挨拶をしていた。しかし、挨拶は返ってこない。あれ?聞こえなかったかな?とも考えたが、次の日も、また次の日も挨拶が返ってくることはない。もちろん見返りを求めて挨拶をしているわけではない。挨拶は一日の基本だ。礼儀だ。と思い込むように努力したが、いっこうに返ってこない挨拶にバカバカしさを感じ、僕は彼に挨拶をするのをやめた。結果、彼と同じ状態になった。

 

そんな感じだから、できるだけKさんと出会わないようにと思い、出勤する時間を少し遅らせた。ところがどうだ。彼も遅れて出勤するようになったのだ。これではいかんと思い、今度は少し早めに出勤することにした。それでもやはり彼と出くわしてしまうことになる。なぜだ?少し遅く出勤しても、少し早く出勤しても出会ってしまう。だったら、少し早く出勤すると思わせて遅く行ってやろう。裏の裏をかいたつもりだったが、そんな小細工は通用せず、やはり出くわしてしまう。どこかで僕を待ち伏せしているのか?彼は僕のことが好きなのか?それとも無意識のうちに僕は彼のことが好きなのか?想像に耐え難い。

 

Kさんは仕事中にブツブツ言う。常になにかに不満があるのだろう。不満顔が彼のデフォルトの顔になっている。最近では、「クソッ、クソッ。」とつぶやきながら仕事をしている。そんな彼のことを僕は親しみを込めて「クソまみれさん」と心の中で呼んでいる。