ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

ハーブデトックスのヘッドスパと美容師の夢

毛穴

最近、美容院に行くとやたらとヘッドスパを勧められる。ハーブデトックスがいいというのだ。いかにもロハスな言葉でオーガニックな女性が喜びそう。

 

「最近、毛穴が見れる機械を導入したんですよ。見てもいいですか?」

 

僕の返事を待つまでもなくマイクロスコープのようなものを頭皮に近づけてくる。ドアップにされる僕の頭皮。そして毛穴。最高にはずかしい。普段人に見せることない部分を見られるっていうのははずかしいものだ。

 

「毛穴が詰まっているのがわかりますか?これをハーブデトックスできれいにしてあげると髪が健康になるんです」

 

1回1,000円らしい。勧められると僕が断らないのを知っているのだろう。思い通りにさせてなるものか。

 

「はい、お願いします」

 

人のいい僕は断れなかった。シャンプー台に移動する。液体をジャバジャバと頭にかけてシャンプーの要領で汚れを落とす。

 

「最初の液は透明なんですが、これが汚れによって濁ってくるので、これもお見せしますね」

 

そういって白濁の液体を見せられた。うすいカルピスのよう。でも、最初の状態をみていないから、それがどのくらいの白濁さなのかわからない。シャンプーやワックス、皮指といった汚れがこのハーブデトックスで落とせるんだとか。そして再び毛穴チェック。再びはずかしい。

 

「わかります?すごくきれいになってるでしょう?これで頭皮が健康になりました」

 

正直、違いがわからない。頭皮ってそんなにすぐに健康になるものなのだろうか?僕はシャンプーをするときはすごく気を使っている。頭皮をマッサージするようにやさしく丁寧に時間をかけて洗っている。すすぎ残しがないように丁寧に洗い流す。そんな感じで常に丁寧にケアしているので、実はそれほど汚れていなかったんじゃないかという疑惑の念はある。なんとなくお金を使わされた感が残ったが、これもまあ、経験。次回は断ろう。

 

僕が最近、あまりヘッドスパをしていないのにはわけがある。担当者が辞めてしまい別の人になったのだが、これががお世辞にもうまいとは言い難いのだ。僕は気が弱いものだから「担当者かえてもらえませんか?」なんてこともいえない。担当を替えろってことは、今の人じゃダメって言っているようなものだから。そんなひどいことは言えない。だったら、ヘッドスパそのものをやめたほうがよほど気が楽なのだ。

 

今の担当者のスパのやり方では頭皮が痛い。指先を使って揉みこむようにマッサージして欲しいのだが、頭皮をズリズリとこするものだから痛くて仕方がない。全然リラックスできない。しかもこの担当者、ビニル手袋をつけてヘッドスパをするのだ。

 

それには理由がありそうで、そのスタッフさんはどうやら薬品アレルギーみたいなのだ。手や腕が痛々しいくらいに荒れている。こんな状況でいつまで美容師を続けられるのだろって余計なことを思う。

 

以前、テレビで自動車学校の人々を追ったドキュメントを見たことがある。なんとなくおしゃれな男性。前職を諦めて長距離ドライバーに転職するのだという。彼の前職は美容師。美容師の仕事は好きだったが、シャンプーやカラーリングに使う薬品が肌に合わず、病院に通いながら美容師を務めていたらしい。しかし、さすがに限界を感じ、美容師の道を諦めたという話。あきらめなければいけない道もあるのだ。

 

今の担当の彼女も悩んでいるのかもしれない。病院通いをしているのかもしれない。きっと、そう簡単にあきらめるわけにはいかないのだろう。「美容師になる!」って決めた日から勉強をして、専門の学校に通って。そんな今までの努力を簡単にあきらめられるわけはない。

 

がんばっているぶん、つらいんだね、きっと。