ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

随分と前に旅立った僕の友達を紹介する

ポチ

ポチは15年近く僕と同じ時間を過ごした友達だ。旅立ったのはもう何年前のことだろうか。当時、近所の神社に子犬が住み着いていた。通学路の途中にあった神社に彼らはいた。多分、4~5匹いたんだと思う。お母さんを見た記憶はない。子犬たちはみんな違う色をしてた。白いヤツ、茶色いヤツ、ちょっとまだらなヤツ。のちにポチと名付けられた子犬はちょっと白っぽいヤツだった。

  

ある日の学校帰り。彼らに出会った。自宅まで300mの距離を彼らはついてきた。ひょっとすると小学生だった僕は、彼らがついてくるように必死に仕向けたのかもしれない。後ろを振り返り「ついてくんなよ。」とうれしそうにいいながら家を目指していたんだと思う。

 

かくして子犬たちは僕の思惑通り家までついてきた。しばらく一緒に遊んだのだと思う。なにをして遊んだのかは覚えていないが、きっと楽しかったはずだ。楽しい時間はあっという間に過ぎ、もうすぐ僕の母親が帰ってくるという時間になった。それを察したのかどうかは知らないが、子犬たちは一匹また一匹と帰っていった。「夕方までには帰ってきなさいね。」子犬たちは母親にそう言われていたのかもしれない。

 

しかし、ポチだけは帰ろうとしなかった。ずっと僕のそばを離れなかった。とてもかわいかった。まるで子犬のような瞳で僕のことをジッと見ていた。なぜ彼は帰ろうとしなかったのだろう。兄弟と離れ離れになることはさみしくなかったのだろうか?いや、それ以上に母親の元を離れるのはさみしくなかったのだろうか?それとも、ここが自分のいるべき場所だと動物の勘とやらで悟ったのだろうか?

 

「勝手について来たー。」

 

僕は母親にそう言ったんだと思う。父も母も動物は好きな人だったんで、文句は言われなかったと思う。「明日の朝になったら、いなくなっているだろう。」きっとそんな会話をしたんだと思う。数分おきにカーテンの隙間から外の様子をうかがう。その度にポチは僕に気づき、しっぽをふってくれた。その度に僕はうれしかった。

 

ポチはずっとそこにいた。そのうち、母が段ボールと古いバスタオルを用意してくれたので、僕は仮設住宅を作ってあげた。といっても、段ボールの中にバスタオルを敷いただけだ。ポチはそこが自分の居場所だと悟ったようで、その中で丸くなって寝ていた。

 

朝になっても当然のようにポチはそこにいた。そして、当然のように我が家の一員になった。僕が生まれて初めて飼ったペットであり、以来15年も一緒に過ごすことになる。この大切な友達と出会った日の出来事は今でも鮮明に覚えている。