ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

壁を擦り抜けてくるものたち

子犬 柵

近所の野良犬たちが僕んちの庭をトイレ代わりにしているので、その対策として柵をこしらえた話を先日した。そして、その柵はなんの役にも立たなかったことも先日お話した。まるで壁抜け男のようにスルリとその柵をくぐり抜けるのである。

 

 

あれからというもの、僕は彼らがどこを通り抜けるのかをじっと見ていた。この柵のどこに脆弱性があるのか。まるで彼らは脆弱性を狙ったウィルスのようだ。ただ僕んちの庭をトイレ代わりにしているだけの彼らをウィルス呼ばわりされるのもかわいそうなものである。しかしだな、キミたちが悪いのだよ。なぜ、この広い地球の中で猫の額ほどの僕んちの庭をわざわざ選んでトイレ代わりに使用するのかね?

 

小さいときにはあんなにかわいかった仔犬たちも、すっかり高校生くらいの雰囲気をかもし出している。大人でもなく、かといって子どもでもない。あどけなさが残る大人びた彼ら。

 

いつもつるんでいるのは黒っぽいヤツと白っぽいヤツの二匹。一匹は足を痛めたのか足をひきずっている。もう一匹の白いヤツは白内障のようになっている。生きるって大変だなぁと彼らを見て思う。

 

先日、彼ら二匹の他にもう一匹の兄弟が現れた。久しぶりに見るヤツである。彼からは確か五人兄弟だったはず。そのうちの三匹までは元気でいることが確認できた。他の二匹はどうしているのだろう?一匹は見るからに気が弱そうで生き抜く力が圧倒的に弱いヤツだった。なにをするにも兄弟の一番うしろ。そして怯えきっていて、なかなか僕んちの庭から出て行こうとしないヤツだった。彼は今でも元気でやっているのだろうか?

 

いやいや、そんな悠長なことを考えている場合ではない。彼らは今や全員僕の敵だ。だから急いで防御策の強化を図らねばならない。とはいっても、竹枝を地面にこれでもかと突き刺すだけである。彼らがスルリと抜けていったところを重点的に強化していく。いちばん端っこにはサボテンなんかも置いてみる。刺さったら痛いんだぞ、サボテンは。彼らはさぼてんというトンカツ屋があることなど知る芳もない。

 

結構、頑丈な柵になったはず。これでダメならさらに強化する。僕はどこまでも徹底的に戦うよ。・・・と思ったとき、なにやら後ろのほうでカサカサと音がする。

 

天使


「へ?キミ、誰?」

 

ってか仔犬だよね。えー、また生まれたの?どこから来たの?とても小さい彼は、高校生くらいの犬には通れないところをすり抜けて僕んちの庭にやってきたようだ。それにしてもさぁ、、、かわいい。キミなら許す。

 

いやいや許してはいかん。きっと彼もすぐに成長し僕の敵となるはずだ。・・・と目を離した瞬間、彼は忽然と僕の目の前から姿を消した。え?そんな一瞬で消えるの?どこ行ったの?

 

彼はなにかの化身だったのだろうか?僕のココロになにかを訴えたかったのだろうか?犬を見た目で差別するんじゃないと。