ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

日常を少しだけ変えてみると、なんだか楽しいよね

駅

 久しぶりに電車通勤をしてみた。普段は車通勤である。前の車が遅いといってはイライラし、赤信号に何度も引っかかるといってはイライラしていた。無事故で今日も無事にいれたことを感謝すべきなのに通勤ラッシュに巻き込まれている僕はそんなことを考える余裕すらなかった。

 

自宅から最寄り駅までは徒歩20分くらい。いい運動になる距離である。中学生だった頃の三年間、毎日この道を歩いて通学をしていることを思い出した。ちょっとした商店街のような通りだったのに、今ではほとんどお店は廃業し、普通の小奇麗でどこにでもあるような住宅に変わっている。

 

そんな中に昔からある平屋の日本家屋がある。普通の家のはずなのに自宅前に家紋入りののぼりを立てている。実は普通の家ではないのだろうか。もしかしてナントカ組などの御家なのだろうか。この辺りにも地元では有名なナントカ組の親分の家があるという噂を聞いたことがある。でも、治安が悪いわけでもないし、いかにもな方々がブラブラしているわけでもないのでなんてことはない。

 

「そういえば、ここスーパーだったよなぁ。ここは呉服屋さんだった。」

 

そんなことを考えながら歩いていると前から小学生が歩いてくる。彼もまた何十年か後に僕と同じようにこの街並みを懐かしむ日がくるのだろうか。それとも都会に出て、この街のことなど思い出すヒマもないくらいに忙しい毎日を送るのだろうか。

 

そうこうしている間に最寄り駅につく。車の窓越しにその駅を見かけることはあるのだが、足を踏み入れることなど何年ぶりだろう。意外に人は多い。通勤、通学で電車に乗り込む人。女子高生はいつの時代もどこの街でも元気なものである。意外に風情があるこの駅。きっと毎日利用していたら、「しょぼい駅だなぁ。」なんてため息をつきながら利用することになるのだろうけれど。

 

電車到着のアナウンスを聞いた僕は目の前の電車に乗り込む。僕が降りるのは次の駅だから乗車時間はわずかに四分。いつも見ている風景が線を描きながら通り過ぎていく。サラリーマンは総じて無表情でうつむき加減。女子高生のグループは総じて楽しそう。キャベツの話で盛り上がっている。キャベツを話題にきゃあきゃあ言えるだなんて羨ましく思う。

 

「なんだか出張に行くみたい。」

 

着く駅はまぎれもなく僕の会社のすぐ近くの駅で、そこを降りて向かう先はいつもの職場なんだけど、なぜだかそう思った。日常が新鮮に思えた。

 

日常を少しだけ変えてみるということは、なんだか楽しい。毎日つまらないなぁと思う前に少しだけなにかを変えてみたら、そこから抜け出せるかもしれない。そう思った。