ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

脳震盪を起こした鳥を目の辺りにした僕は

鳥

ガラス窓をピカピカに磨くと、時に不条理なことが起きる。ガラス窓の存在に気がつかない鳥がそれに勢いよく衝突するのだ。衝突した鳥は地面に横たわったまま脳震盪を起こしヒクヒクする。彼らはどんな菌を持っているかわからないから、不用意に救いの手を差し伸べることはしない。傍でそっと見守るってやるにとどめている。

 

ふ‐じょうり〔‐デウリ〕【不条理】

  1. 筋道が通らないこと。道理に合わないこと。また、そのさま。
  2. 実存主義の用語。人生に何の意義も見いだせない人間存在の絶望的状況。カミュの不条理の哲学によって知られる。

出典:http://dictionary.goo.ne.jp/jn/192645/meaning/m0u/

 

不条理。鳥にとっての絶望的状況。脳震盪を起こした鳥からすれば、その状況は絶望的で恐怖におびえる時間であることは容易に想像できる。

 

進撃の巨人。

 

「この巨人は僕のことをジッと見ている。きっと僕は食べられてしまうのだ。なにをニヤニヤしてるんだ。あっちに行け。」

 

脳震盪を起こした彼は僕の存在を目の当たりにし、そう願っているはずだ。

 

僕はキミの敵じゃないんだよ。キミに手を差し伸べるわけにはいかないんだけど、こうして見守ってあげることならできる。そうしてないと、キミはきっと悪いノラ猫のおもちゃになってしまうだろう。散々おもちゃにされたあげく、キミを食べるわけでもなくいたぶり続け、生殺しの状態を楽しむことだろう。そんな地獄からキミを守ってあげてるんだ。こうしてニヤニヤしながらね。

 

それにしてもバカだよね、キミは。どうしてこんなに広い世界の中で狭い僕の家の窓ガラスにドカンとぶつかることがあるんだい?少し前にもキミの仲間がぶつかってきて、やはり同じように脳震盪を起こしていたよ。それは、余命宣告を受けた母と最後の旅行にでかける日の朝のことだったね。「縁起が悪いわね。」って言った母の言葉も今ではいい思い出さ。もう何年も前のことだけどね。

 

ところでキミたちはやけに派手な音を出してぶつかるね。そんなに急いでどこにいくつもりだったんだい?ぶっそうな世の中だから、最初はテロでも起きたんじゃないかと心配したよ。でも、よく考えてみたらこんな田舎の一軒家を襲ったってなんの特にもなりゃしない。ガス爆発か誰かがうちに忍び込んできたのかと考えたけれども、それも違った。そんなことを考えながら、ふと外を見るとキミの仲間が目を白黒しながらピクピクしてるじゃないか。まあ、もっとも鳥に白目があるかなんて考えたこともないがね。

 

間抜けな鳥もいるもんだと思っていたら、定期的にキミたちは僕の家にぶつかってくるね。ガラス窓を磨き過ぎたかい。そりゃ悪かったね。今度からは「衝突注意」の看板をかかげておこう。意味があるとは思えないがね。

 

さあ、そろそろ意識も回復してきたんじゃないか?飛びたてるだろう、野生の力で。また話においでよ。今度は素で話そう。