ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

いつもの風景をいつも通り眺めてみた

風景

僕は庭を眺めるのが好きだ。枯山水庭園や入場料を取るような立派な庭もいいが、自分で手入れをしたうちの庭がいちばんいい。選定して丸くなったツツジやツバキの植え込みなどは毎朝眺めている。きれいに刈られた芝生を眺めるのも好きだ。いいなぁ、我ながらいい。なにがどういいのだろうと考えても言葉では説明できない。自分で汗を流してきれいに整えた景色だからいいのだろうか。同様に家の中も整理整頓して雑巾掛けをしてきれいな状態にしているが、そちらはずっと眺めているということはない。自分で努力した結果を眺めるという意味では、家の中も外も変わりはないはずなのだが、何かが違うらしい。

 

芝生

 

庭というのは一時だって同じ状態ではない。風が吹けば枝葉はそよそよする。天気がいい日は光と影のコントラストが美しい。たまにカエルがピョンと飛び跳ねる。今時期は夜になると、カエルの大合唱だよ。でも、その合唱を耳にしてもうるさいなどとは思わない。むしろ静けさを感じる。カエルの合唱も虫の音も実に美しいと思う。人も皆こうだったらいいのにね。

 

木漏れ日

 

今朝も庭を眺めていると、少し先の家の屋根に二匹のカラスが身を寄せ合うようにしていた。少しだけ雨が降る中、ふたりともずっと遠くを眺めながら毛づくろいをしていた。羽根を片方づつあげながら、くちばしで突いてるの。人間でいえばあれだね、居間でゴロンと横になってテレビを見ながら、だらしのないわき腹をボリボリと掻いているオバちゃん。あれと一緒だ。そんなのと一緒にするなってカラスに怒られそうだね。僕はカラスのそんな姿ならずっと眺めていられるけど、オバちゃんのそんな姿をずっと眺めていると、ため息をついてしまうと思う。

 

カラスってなにを好き好んで、黒い服を身にまとっているんだろうね。黒じゃなければ、そこまで人間に嫌われることもなかったろうにと思う。「カー、カー」って鳴くのも嫌われる要因のひとつだからやめた方がいいと思う。人間基準で考えること自体が間違ってる?まあ、カラスの勝手だね。

 

毛づくろいをしていたふたりのカラスはね、時々顔を見合わせていた。

 

「このあたりも随分と変わっちゃったわね。昔は一面田んぼだったのに。今ではこんなに品のない家ばかり。食事にありつこうと思ったら、ゴミ箱を漁るしかないわよね」

 

相方はコクンと頷くだけ。ふたりの関係はうまくいってそう。