ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

窓ガラス壊したらいけない

硝子

朝っぱらから窓ガラスを割ってしまった。野良犬が束になってうちの庭を歩いていたものだから、追いはらうつもりで窓ガラスをドン!と蹴ったのだ。そうしたら、あっさりと割れた。えー、全然力入れてないのに。そんなにあっさり割れちゃうの?ちくしょう、野良犬のせいだ。あいつらが僕のうちの庭をウロチョロするから悪いんだ。なにかのせいにしないと気が済まない。いや、僕が悪いんだね。軽くでもなんでも窓ガラスなんか蹴っちゃいけなかったんだ。

 

そういえば昔、父親もこの窓ガラスを割ったことがあったな。しかも飼っているシーズー犬と喧嘩して窓ガラスめがけて彼をぶん投げて割ったのだ。愛犬は幸いなことに無傷。父親と愛犬は非常に相性が悪かった。父が彼を抱っこすると、とても機嫌が悪くなり、「ウー、ウーー」と今にも噛みつきそうな唸り声をあげる。それでも父は彼を解放しないもんだから、しまいには彼は父に噛み付く。

 

「この野郎!この家の主人に噛み付くとは!」

 

そういって、窓ガラスめがけて彼をぶん投げたのだ。まさか、ガラスが割れるとは思わなかったのだろう。「ガラスが割れた」父はバツが悪そうにそう呟いた。「割れたんじゃない、オメーが割ったんだよ」と言ってやりたかったが、火に油を注ぐようなものなのでやめておいた。父親と愛犬は和解することはなかった。犬や子どもと本気で喧嘩をするような父親だった。当時はどうしようもなバカ親だと思っていたが、今になってみれば、子どもみたいな愛すべきバカ親だったのだと思う。

 

「この窓ガラスはきっと割れやすいんだろうな」

 

そう考えて自分を納得させた。僕は以前にも窓ガラスを割ってしまったことがある。家の中に自分の背丈よりも高い脚立を持ちこんで作業をしていた。そのころはDIYが趣味だったから、自分で部屋の壁紙を張り替えたり、床を張り替えたりしていた。その作業中だったと思う。自身の不注意で脚立を倒してしまったのだ。脚立は窓ガラス目掛けて倒れる。「あー、やべー」と思うよりも前にガラスが割れる音がする。

 

ガッッシャーーーン!

 

もうね、呆然とするしかないよね。どんなに悔やんだって割れたものは元に戻らない。「まあ、これでガラス屋が儲かるんだ。悪いことでもなかろう」とトンチンカンな言い訳をして自分自身を納得させる。あとはガラス屋に任せるしかないのだが、普段の生活でガラス屋と付き合いがあるわけでもないので、こういう時はどうしたらいいのか戸惑う。かといってこればかりは先延ばしにするわけにもいかない。防犯上もよろしくないし、風が吹き込むし、雨が降ったら部屋の中がわやになる。なにより蚊が入ってきて痒い。悩んでいる暇なんてないから、さっさと適当なガラス屋に電話して修理してもらおうと思う。