ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

終わりよければ

魔女

お金はなんでも手に入れることができる魔法のアイテム。その魔法を手に入れるためにある者は魔術師になり、ある者は魔女になる。

 

魔法のアイテムを手に入れるためには手段を選ばない。自分の指を一本切断する代わりに魔法を手に入れる者もいる。人を欺くものもいる。自分の血を引くものをターゲットにする者もいる。

 

そのターゲットは魔女のことを信頼している。とても頼りにしている。裏切られることなんて考えたことすらないから、その純粋な目で魔女を見つめる。魔女は透明なものが大嫌い。黒い衣服を身にまとう。真っ赤な口紅と必要以上に伸ばした爪で自分を飾る。

 

魔女は疲れることも大嫌いだから、ホウキにまたがって自由に空を飛び回る。人々を上から見下ろし、次は誰をターゲットにしようかと考える。

 

魔女の家にはたくさんの衣装がある。宝石がある。ルージュがある。魔法のアイテムを手に入れた魔女は次から次へとそれら沢山のモノを手に入れるのだが、気持ちが満たされることはない。それどころか「もっと欲しい。もっと沢山のシアワセが欲しい」と思う。それにはもっと沢山の魔法のアイテムが必要になる。次のターゲットを探さねばならない。

 

魔術師もまた同様。魔法のアイテムがあれば自分はシアワセになれるはずだと考える。誰よりもシアワセになりたい。もっと美味いものを食いたい。もっといい酒を飲んで、もっといい女を抱きたい。抱いているのは変装した魔女だと彼は知らない。彼もまた魔女のターゲット。

 

どうすれば簡単に魔法のアイテムが手に入るだろうか。別の魔術師に相談すると、白い粉を売り捌けばいいという。ただし、それは誰にも見つからないように。神にも見つからないように。悪魔以外の誰にも見つからないように。

 

くしゃみをすれば吹き飛んでしまうほどの量の白い粉を相手に渡すだけで相手は喜んで沢山の魔法のアイテムをくれる。次第に様子がおかしくなっていくターゲット。もっと欲しい。白い粉がもっと欲しい。

 

「俺が欲しいのは魔法のアイテム。利害関係は一致しているじゃねぇか」

 

欲しいと思わなければ魔女にならないですむのだろうか。それは本当に魔法のアイテムなのか?それは本当に僕を幸せにしてくれるのか?魔術師や魔女たちを見ていると幸せそうに見えないのは気のせいか。魔法のアイテムに踊らされているだけのように見えるのは気のせいか。魔法のアイテム。それは悪魔のアイテム。魔法なんて12時過ぎれば解けるに決まっている。それが晩年。