ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

よかれと思ってしたことが裏目に出る

財布

Airbnbを利用して宿を借りた時のことだ。部屋に入るにはオーナーさんから鍵を受け取る必要がある。チェックインの時間なんて不確定なものだし、鍵を手渡しするとなると時間調整が大変だからであろう。ある場所に鍵は隠してあった。ある場所にダイヤルキーのついたボックスがあり、その中に鍵が入っているのだ。ボックス自体はもちろん持ち去られないように固定されている。考えたものだ。僕はそこからキーを取り出し、部屋に入った。

 

そして一時間後。再度出かけようと思った。

 

「あれ?財布がない」

 

たいした荷物もないし、置く場所も限られているこの部屋で僕は財布をなくしてしまったのだ。カバンの中か?枕の下か?冷蔵庫の中か?ズボンのポケットか?財布はズボンの後ろポケットに入れていたような気がする。さっき鍵を取り出そうとしゃがんだ時に落ちたのかもしれない。だとしたら事態は深刻だ。人目につけば必ず拾われてしまうであろう。気がつかない場所ではない。拾われたとして警察に届けてくれるような心優しい人だったろうか。

 

旅先で財布をなくしてしまうだなんて最悪だ。幸いにも電子マネーはチャージしたばかりだから二万円近くの残高がある。大抵はそれで乗り切れるであろうが、現金がないのは不安だ。友達に借りないければいけないかもしれない。快く貸してくれるだろうか。金の切れ目が縁の切れ目。いくら友達といえど、簡単に金の貸し借りはしたくない。疑心暗鬼になる元だ。本当に返してくれるだろうか?いつ返してくれるのか?このままバックレる気じゃなかろうな?友達やめてもいいんだぜ?

 

僕は不安になりながら部屋を出る。ちゃんと鍵を持って。これがないと締め出しをくらってしまう。財布はなくすわ、部屋に入れないわじゃ、目も当てられない。泣きっ面に蜂だ。

 

「頼むあってくれ」

 

僕は祈りながら階段を駆け下りる。エントランスのドアを開ける。目的の場所にそれは、、、あった。鍵の受け取り場所に財布はあったのだ。そうだ、ズボンの後ろポケットに財布を入れていたから、しゃがんだ際に落としてはいけないと思い、目の前の花壇の縁に財布を置いたのだ。そしてそのまま忘れてしまったのだ。幸いにも財布を置いた場所は道路から死角になっていたので見つかることはなかったのだ。よかれと思ってしたことが裏目にでる。よくあることだ。