ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

諸悪の根源、立ち塞がる壁

台風一過

台風が近くにいると海が荒れる。近くといってもはるか先。何百キロも先だけど。海が荒れるのは風のせい。海自身は今日も穏やかに過ごしたいと思っているはずだ。

 

「そうなんですよ、アズさん。わたしはね、できるだけ波風たてずに今日も過ごしたいと思っているんですけどね。台風の荒々しさったら、どうにもなりはしません」

 

彼らもまた強いものには逆らえないのだという。

 

「地震のときだってそうですよ。我々はじっとしていたいのに海底で何者かが暴れるから、とばっちりを受けたんでさ。それを津波のせいだ、荒れ狂う海のせいだってことにされるんですからね」

 

諸悪の根源はナマズ。彼が海底で暴れまわっているのが悪いのだ。しかし、ナマズ自身は姿を表さないものだから海はとばっちりを受ける。本当に悪いやつらは誰なのか。影で意図を引いているやつらは誰なのか。

 

荒れる海

 

防波堤の外の波は荒れているが、その内側は穏やかなものだ。さすがに全く影響を受けていないとは言えないが、外側と内側を比べればそのさは歴然。たった数メートルの高さの防波堤があるだけで、両者は違ったものになる。

 

穏やかな海

 

防波堤のような壁は組織の中にもある。それは組織で働いていると誰もが感じるもの。誰が作ったかはわからない。それは決して乗り越えることができないように巧妙に作られている。壊そうと巨大なハンマーを必死に振り回しているものがいる。巨大なハンマーを振り回すにはとてつもないパワーが必要だ。何百回、何千回とそれを振り回す。体力は消耗する。代わってくれる仲間などいない。

 

「そんなところに壁なんてありませんよ?なにを必死になっているんです?」

 

見えない誰かがつぶやく。そんなバカなことがあるか。お前たちにはこの巨大な壁が見えないのか。近すぎるんだ。もっと遠くから全体を眺めてみろ。至るところに壁が立ちふさがってるじゃないか。動け。まずは一歩を踏み出せ。その壁から離れようとするんだ。もたれ掛かってちゃいけない。

 

「壁にもたれ掛かっている方が楽でいいじゃないですか」

 

そこにお前たちがいると壁が壊せないじゃないか。お前たちを傷つけるわけにはいけないんだ。少しの犠牲者も出してはいけないんだ。その気持ちを逆手にとるようにいつまでも壁にもたれ掛かっている人たち。そのうちのひとりは僕。

 

鳥

 

空を見上げると強風にあおられている鳥たちがいる。必死に風に抵抗するもの。風の吹くままに身を委ねているもの。

 

「壁にもたれ掛かっていないで一緒に空を飛びませんか?風の流れに身を委ねて揺られているのは気持ちがいいもんですよ。いきつく先は保証しませんがね」