ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

24時間スーパー物語

買い物

「明日は雨かぁ」

 

一日のほとんどは強雨の予想だった。雨だと出掛けるのは億劫になるよね。用事がなければ出掛けたくない。用事があっても出掛けたくない。僕は食べるものを買い置きしないタイプ。冷蔵庫の中を確認すると、明日一日を乗り切るには少し心もとない感じ。

 

「買い物いかないとなぁ」

 

雨だから出掛けたくはないが、ひもじい一日を過ごすのは少しせつない。

 

「朝ウォーキングのついでに買い物に行くか」

 

僕のうちから歩いて二十分くらいのところに二十四時間スーパーがある。僕はそこへ行ってみようと思った。歩いて行ったことなどないし、早朝にスーパーに買い物に行くこともほぼはじめて。ただ、朝早く歩いて買い物に行くというだけのことなのに、ちょっと楽しみだった。

 

そして翌朝。遠足の日のようなワクワク感に早く目が覚める。いつも通りコーヒーを入れて目を覚ます。時間を確認すると、まだ朝の五時前。外は真っ暗。

 

「よし、出掛けよう」

 

買い物袋を持って。財布を持って。意気揚々と。途中まではいつものウォーキングコース。国道を渡りスーパーへ向かうその道順はいつもとは違うコース。その途中にはちょっとしたトンネルがある。映画であれば、その前方からナイフを持った男が近づいてきてグサリと刺されてしまうようなところ。間違いなく重症。「まさか、お前が...」浮かび上がる男のシルエット。その風景が不気味に思えるのは、僕の勝手な妄想のせい。そして、オレンジのライトのせい。なにごともなくそのトンネルを通り抜ける。

 

トンネルを抜けた先はちょっとした高架橋。僕はいつもそこを車でサーッと通り抜けるだけ。ここを歩くのははじめてかも。見える景気は車でのそれとは全然違う。昔から建っているであろう家々。田んぼに畑。児童公園。群れる野良犬。野良犬め、こんなところにもいやがったか。十年前まではなかったこの高架橋。便利になったぶん、昔からこの辺りに住んでいる人にとっては車の騒音が迷惑になっているのだろう。

 

そんなことを考えていると目的の二十四時間スーパーは目の前。入り口には頼りない警備員がいる。意外とお客さんもいる。品物はまだ並べられておらず品揃えが悪いのは仕方がない。箱に入って片隅に待機している豆腐。運ばれてきたばかりの菓子パン。魚や野菜はまだ市場に並んでいるのだろうか。並んでいるのはいかにも昨日の売れ残り。開店前の準備といった様子の店内。店員さんは忙しそう。お客さんよりも店員さんの方が多いんじゃない?その隙間をぬうようにして品物を買い物カゴに入れていく僕。

 

そうして買い物を終え店を出た頃には、辺りはすっかり明るくなっていた。ようやく一日がはじまる。その頃には一仕事終えていた僕。今日はなにをしようか。