ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

隙間時間に本を読む僕とひとりで散歩するトランクの怪

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最近、旅行に出かける際に本を持ち歩くことが多い。図書館で借りた本だ。隙間時間に本を開いては読む。スマホでも時間は潰せるのだけど、それは本当に暇つぶしにしかならない。暇つぶしということは要するに時間を潰しているということだ。限られた時間なのになんだかもったいない。僕は読みたい本がたくさんあるから、そんな少しの時間でも潰したくはない。

 

待ち時間にひたすらそれを待つというのは苦になる。なにもせずにひたすら待つ。「まだかなぁ、早くこないかなぁ」とイライラしはじめる。その時間を本を読む時間に変えるとあっという間に時間は経つ。続きが気になると「まだこないでくれ」と逆に思ったりもする。

 

町全体がザワザワとうるさければ、不思議とその音は気にならない。逆に集中できる。音の壁に包まれている感じ。邪魔なのは静けさの中のひとつの声。

 

比較的静かな新幹線のホームの8号車両の到着位置で僕は本を読んでいた。遠くから聞こえるオバサマ達の声。相当遠くだが、話の内容まで伝わってくるくらいの声。

 

「8号車よ。あんた何番?あたし四番。あら、あなた五番なのね。隣ね」

 

仲間なのに別の席に座るつもりだったのだろうか?そして僕のうしろに並ぶ。大きな会話は鳴りやまない。

 

「その座席だと、もうひとつ向こうのドアから入ったほうが近いよ?だから向こうに行ってよ」 なんてことは言えない。本に集中したいが、オバサマ達の会話のほうがどうしても勝ってしまう。パラパラとページをめくるだけの僕。オバサマ達は展示会に行くらしい。なんの展示会だかは知らないが新幹線にのってわざわざ行くくらいだ。とても魅力的な展示会なのだろう。

 

「この前の展示会の帰りに一蘭に寄ったんだっけ?」

 

展示会巡りが趣味なのだろうか?そこで大量にモノを買っては満足しているのかもしれない。引きずっているトランクは帰り道は展示会でゲットしたものでぎゅうぎゅう詰めになるのだ。そして家に着いて娘に怒られるのだ。

 

「お母さん、また無駄使いして」

 

「いいじゃない、腐るものじゃないし、すごく便利なんだから」なんていいながら押し入れの奥にしまい込むのだ。前回展示会で買った未開封のモノを押し入れのさらに奥に押し込みながら。

 

こんな記事を今新幹線の中で書いているんだけど、僕の横をトランクだけがススーッと転がっていった。いかにも軽そうなトランク

 

「あらあら、トランクがひとりで散歩しちゃったわ」

 

慌ててあとを追うのは先程のオバサマ。大丈夫だよ、帰りはモノが詰め込まれるのだろうから、ひとりで散歩することはないはずさ。