ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

春秋座大歌舞伎のチケットを手に入れるまで

 

春春秋春秋座

春秋座は京都造形芸術大学内にある劇場。三代目猿之助が監修した劇場である。歌舞伎はもちろんのこと現代劇や舞踊なども行われるようだ。

 

今回、僕が観た演目は「獨道中五十三驛」という三代目猿之助が近年に復活させた歌舞伎。東海道中膝栗毛をベースに御家騒動と仇討の話を織り混ぜたストーリーになっている。お家騒動と仇討といえば歌舞伎の定番。そこに化け猫の宙乗りや十三役早変わりなどのケレンが盛り込まれており、面白いのは間違いない。三代目猿之助はとにかくわかりやすい歌舞伎、観客にウケる歌舞伎を作り上げてきた。

 

だから当然、チケットは取りづらい。この10月は猿之助一座は巡業で全国各地をまわっている。巡業なので地方の劇場は1日限りとなるのだが、ここ京都、春秋座は特別。四日間の公演となっている。にもかかわらずチケットの一般販売初日にはすぐに売り切れた。僕はこの演目を観たことがなかったからどうしても観たかったし、春秋座にも行ったことがなかったから、どうしても行きたかった。

 

翌日以降、僕はヤフオクなどネット上を探し歩いた。まあ、実際に歩いたわけでもないので疲れはしなかったけど。最近のマッチング広告というのはすばらしく、すぐさま「春秋座のチケットあります」という広告が表示された。それはチケット販売の仲介のようなサイトで、ヤフオクみたいに個人がチケットを出品しているのだ。しかし、値段はどう見てもぼったくり。通常価格の倍以上の設定になっている。こんなやつらは最初から観劇するつもりなどなく儲けてやろうとしてチケットを手に入れたに違いないのだ。ちくしょう、こんなせこいことを考えるやつらのせいで僕は悔しい思いをしたんだ。こんなやつらから購入してなるものか。

 

とは思いつつ、ちらっとだけ詳細を確認。倍以上の価格でも多くの取引が成立している。このチャンスを逃すと、僕はもう春秋座には行くことがないかもしれない。この演目も二度と観れないかもしれない。気持ちは格闘した。そうしたいと思ったら、その気持ちを逃したらダメ。今しかない。僕は不覚にもチケットの取引をしてしまった。はじめて利用するサイトだし、個人間の取引だから不安はあった。騙されたとしても勉強代と割りきろう。最初からそう考えればこわくもなかった。結果的には無事チケットは届いた。届いたチケットは春秋座の会員専用のチケットだった。心ない人間なのか、不幸にも観劇できなくなり泣く泣くチケットを手放したのか。後者と考えるにはチケットを出品するタイミングがあまりにも早いのが気になる。