ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

高いには高いなりの理由があるらしいが、高過ぎて買えない

ジレ

この記事の続きのような記事を書こうと思う。僕が最近手に入れたいと思っているのはジレ。日本語でいうチョッキのこと。最近といいつつ、ここ二~三年は探し続けている。なかなか一目惚れするそれに出会わない。が、先日、目を引くジレに出会った。通常、レイアウトされている服は値段が隠されているものだが、僕が目にしたそれは思いっきり値段が表示されていた。

 

¥38,800

 

高っ。スーツ買える値段じゃん。ちょっとした旅行もできるじゃん。

 

「よろしければご試着もできますので。秋物でお探しですか?あ、そのジレですね」

 

店員はそう僕に話しかけてきた。僕は普段は値段のことは口にしないようにしている。セコいと思われたくないからだ。店員が目を離した瞬間に値札を確認するのがいつものパターン。確認するも時すでに遅し。買わざるを得ないことも過去にはあった。

 

「このジレいいなと思ってみてたんですけどね。さすがに高いですね」

 

今回僕は素直に高くて買えないことを告げた。店員は高いには高いなりの理由があるといった。イタリアのデザイナーがデザインし、生地を日本に輸入。それを日本の職人さんが編んで作成したというのだ。確かにものがいいのは見た目でわかる。マネキンが着ていたそれはすごく輝いてみえたのだが、実際試着してみるとなにかが違った。「あれ?違うぞ?」と思っていることを悟られないように笑顔を心がけたのだが、きっと僕の笑顔はひきつっていたはず。僕は思いっきり夏の格好をしていたので重厚感のある秋物のジレが全く似合わなかったのだ。

 

「これに似合う服を着てきたときにまた試着させてください」

 

今日の格好ではジレのよさがイメージできなかったことを素直に伝えると、店員も「そうだと思いました」と納得している様子。確かに店員は積極的に試着を勧めなかった。売る気がないのだろうか?と若干不振気味に思っていたのだが、こんなところに理由があったのだ。

 

どう考えても似合いもしないのに「お似合いですよ。絶対いいっすよ」と売る気満々の店員に比べると好感が持てる。とりあえず今日は買う気がないことを伝えたあとも店員はこのジレの素晴らしさを伝え続けてくれた。話が面白かったので、僕はその話を聞いた。

 

「堅苦しくなく、でもちょっとおしゃれなところに着ていきたいですよね」とわかったようなことを僕はいうと、「そうなんですよ。まさにそれがテーマで」といいながらなにやらゴソゴソ。胸ポケットの裏地を引っ張り出すとオシャレな柄が登場。そう、ポケットチーフになるのだ。ドット柄のかわいい模様。普通、こういったものは裏地と同じ記事を使っている場合が多いと思うけど、このジレに限ってはポケットチーフのためだけの柄なのだ。

 

こういう見えないところに気を使っている服ってすごく好き。自分だけしか知らないおしゃれ。人の目に触れなくても僕はおしゃれなんだぞという密かな自信。これで一気に魅力は増したのだけど、なにせ値段が高い。もう一歩踏み出せない。