ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

入る勇気と出て行く勇気の買い物論

扉

最近、洋服の買い物熱がすごい。ここ一ヶ月で三着も買った。最近の僕にしては大量購入だ。以前の僕はシーズンごとに服を購入していた。出張や旅行をするたびに買っていたりもした。僕の地元にはロクな服屋がない。数件あるセレクトショップは実に入りにくい。店員の熱みたいなものを感じられず無愛想。客を選んでいるのか「あなたはこの店の客ではありません」的な空気を感じる。まあ、僕の勝手な思い込みだけど。

 

僕はデパート系のお店を好む。店の入り口に扉がないのがいい。七階のメンズって書かれているフロアまで行けば、あとは適当にふらふらと服を見てまわればすむから。そこにはたくさんのブランドが揃っていて効率的に見て回れるし。

 

一度も入ったことのないお店の扉を開けるというのはとても勇気がいる。そこに僕が求めているものがあるのか?それは適切な値段なのか?どんな店員さんがいるのか?他にお客さんがおらず店員さんとふたりっきりになったら気まずいのではないか?いろんなことを考えて結局、扉を開けない。

 

勇気をもって扉を開けたとしよう。今度は出ていくのに勇気がいる。そこには僕が欲しいものなんてなかった。値段が相応ではなかった。黙って僕のことを監視している店員さんが嫌だった。買わずに店を出るには様々な理由がある。物を売っているお店からなにも買わずに立ち去る。僕にとってはとても勇気がいる行動。特に店員さんとふたりっきりだとね。

 

「いらっしゃいませ」

 

他の客が店に入ってきた。よし、今がチャンス。店員がその客に気をとられた瞬間に店を出る。

 

「ありがとうございました」

 

ありゃ、ばれたか。まあ、なにも買わないってことをそれほど気にすることはないと思うけどね。買わない客のほうが多いんだろうしね。

 

そんな気遣いが不要なのが広々としたフロアにいくつものブランドが用意されているデパート。にも関わらず、そのフロアにわざわざ扉を用意して客を選別しているブランドがある。PRADA、GUCCIという類いの高級ブランドだ。まあ今の僕には全然似つかわしくないから関係ない世界だけど。いつかはくぐってみたいあの扉。

 

ブランドっていうのはそういうものなんだろうね。「いつかは」っていう憧れ。扉をくぐる日が来たとしても、なにも買わずに出ていくチャンスを伺っている僕の姿が容易に想像できる。へんな汗かいてるぞ、未来の僕。