ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

そっとしておいてやれよ

一本杉

修学旅行だったのだろうか。僕は団体行動をしていた。行き着いた先は山の上の神社。宿泊施設がある。僕たちはここに泊まるのだろうか。下界を見渡そうとするが、雲にかくれて見えない。目の前には大きな一本杉がある。

 

「この一本杉を世界遺産にしようと思うのだがね」

 

これが世界遺産?神社と宿泊施設しかないこんな山奥の一本杉を世界遺産に登録していったいなんの意味があるというのか。この一本杉でひと儲けしようというのか。世界遺産に登録されれば、この自然は人々に踏みにじられて、ゴミだらけにされて荒らされるだけだぞ。人の顔をした邪鬼に一本杉を傷つけられるだけだぞ。落書きをされるだけならまだしも彫り物なんてされてみろ。そこからこの一本杉は弱っていくかもしれないんだぞ。

 

世界遺産なんて一本杉にとってはいい迷惑だ。人間に気づかれずに今日まできたから、ここまで成長できたんだ。そっとしておいてやれよ。

 

場面は急に変わる。僕は僕のうちを遠巻きに眺める。どうやら近くで火事があったらしい。メラメラと燃えているのは遥か先の山。しかしあっという間に炎は燃え広がる。やばい、僕の家も燃えてしまう。僕の足元にはリュウグウノツカイが干からびたような生物が数体横たわっている。目の前の火事と関係があるのだろうか。火事の熱で息絶えたのだろうか。

 

山の炎は急激に弱まる。僕のうちは燃えることなく鎮火したらしい。リュウグウノツカイが最後の力を振り絞って山の炎を消してくれたのだろうか。

 

そこで僕は目が覚めた。