ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

映画「この世界の片隅に」の感想

この世界のこの世界の片隅に

前売り券を買ってみようと思っていたこの映画。だけども思ったよりも公開される劇場が少なくて結局前売り券は買わなかった。公開から日は経っているはずなのに僕が観たその日は立ち見がでるほどの大入り。

 

がっつり戦争映画だと思っていたがそうではなかった。戦争前後のあの時代。広島に住むすずという女性の生き方を描いた映画だった。すずという女性は実にマイペース。嫌味も通じないようなおっとりとした女性。今の時代でいうなら「空気が読めない女」ということになる。いやだね、空気が読めないって言葉。人を小馬鹿にしたような言葉に思える。使うのやめよう。

 

この映画に出てくる人は皆人がいい。すずが嫁いだ先のお姉さんが少しばかり意地悪く描かれているが、それはほんの少しの一面だ。すずのことを垢抜けない女だと罵りつつももんぺを縫ってあげたり、辛いことがあっても「ごめんね」と謝ることができたり。だからかどうか知れないが、僕はこの映画では泣けなかった。こんな時代でありながら、のほほんとしているのだ。決して悪い意味ではない。のほほんとして終わるはずの日常にようしゃなく迫りくる戦争という悲劇。毎日を過ごしている家の空高いところから爆弾が落ちてくる。そんなこと今の僕には想像すらできない。想像すらできないことが、ほんの数十年前には現実にあっただなんてことさえも想像できない。

 

2016年は米国の大統領が広島を訪問した。その後、日本の首相が真珠湾を訪問した。 ここまでくるのに七十年以上もかかった。謝罪の言葉があったとかなかったとか、僕はそんなことはどうでもいいと思っている。歴史観というのは属する国によって違うのだろうと思う。それにこだわり続けると同じ過ちを繰り返し得ない。悪いのは戦争だ。それを繰り返さないために今後どうしたらいいか。オバマ大統領が広島のあの地でそっとハグした光景を僕は忘れない。

 

広島のあのキノコ雲を遠くから眺めていたすずたちはあのあとどうなったのだろうか。ピカドンのあの光を浴びてその後の生活は大丈夫だったのだろうか。

 

こう考えるとやはりこの映画は戦争を考えさせる映画だったのかもしれない。130分という大作ですが、あっという間です。