ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

僕はなにから逃げ、なにを手に入れたかったのだろうか?

 

逃げる

逃げていく夢 其の一

夢の中で僕は子どもたちと映画をみていた。皆、みている方向はてんでバラバラ。だけどもそれぞれが映画鑑賞できているっていうのだから夢の力というのはすごい。僕たちがみたのはどんな映画だっけ?内容なんてさっぱり覚えていない。

 

映画館を出た途端、子どものひとりが走りはじめた。車が行きかう三車線の道路。子どもはなんのためらいもなくその道路を横切り、あっという間にその向こう。「待てよ、危ないじゃないか」そんな声をかける余裕もない。僕は行き交う車に阻まれて向こうに行くことができない。

 

逃げていく夢 其の二

僕はこの日も映画をみていた。今日はひとり。映画の内容なんてやはり覚えていない。映画をみること自体は僕の夢では重要じゃないみたい。

 

映画館を出ると、そこは昭和の町並み。オールウェイズ。夕日は見えないけれど。赤いポストに低めの屋根。タバコ屋。舗装されていない道路。舞う土ぼこり。

 

僕はある店に入ろうとした。その店に入るには僕が持っているカバンは邪魔だった。そこに停まっている軽トラックの荷台に何気なくカバンをおいてしまう僕はバカ。店を出ると、その軽トラックは今にも発進しようとしている。

 

「待て、そこには僕のカバンが!」

 

必死に追いかけるもわずかに軽トラックの方が早い。手が届きそうで届かない。曲がりくねった町の構造のおかげで軽トラックはそこまでスピードを出せないよう。待てよ!そのカバンの中には財布も入っているんだ。それがないと僕はうちへ帰れないじゃないか。そこにカバンを置いたことを後悔するも遅い。

 

必死に追いかける僕。軽トラックがわずかにスピードを落とした瞬間。カバンに手がかかった。

 

「よし」

 

しかしそれは僕のカバンではなかった。さて、どうしたものか。僕は窃盗で逮捕されてしまうのか。他人のカバンを握りしめたまま呆然とする僕。夢はそこで終わり。

 

僕はなにから逃げ、なにを手に入れたかったのだろうか?