ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

車の事故にあった日、逃げ得はダメだから

事故

今日はいつもより少しだけ仕事を頑張った。僕はいつも定時でさっさと帰宅するのだが、仕事を頑張った分、退社時間が少し遅れた。結果、事故にあった。なんだよ、頑張ったっていいことないじゃないか。頑張らなければ事故にあわずにすんだのに。

 

いつもの通勤ルート。僕は直進車線で信号待ちをしていた。そこは直線レーンと右折レーンが交わるぎりぎりの場所。反対車線にちょっとだけはみ出れば右折レーンに入れる。逆にいうと無理をしないと右折レーンには入れない。後続車は無理をした。

 

ドン!!

 

不穏な音がした。衝撃はないが、どうやら僕の車にぶつかったらしい。ぶつかった車はそのまま前方へ。右折するために信号待ちをしている。僕は考えた。確かに今、僕の車にぶつかったよな?でも、それほど衝撃はなかったからたいしたことないか。でも、事故は事故だ。適切に処理するべきではないか。考えている間に加害者は逃げてしまう。僕は右折レーンへとハンドルを切った。無関係の一台の車をはさみ、その後ろにつける。

 

加害車はショッピングセンターへと入っていった。逃すまいとする僕。その間にいる無関係の車が邪魔でもどかしい。加害車は駐車場をウロウロしている。出入口は一箇所しかないことを確認して僕は空いたスペースに車をとめる。加害車に近づき、窓ガラスをノックする。

 

運転手は腐女子っぽい感じの若い女性。いかにもどんくさそう。まだ10代かもしれない。車に若葉マークはない。僕は窓を開けるようにゼスチャーする。

 

「今、ぶつかりましたよね?傷になっているんですけど」

 

「あ、はい」と答える腐女子。どう対応していいのかわからないといった感じ。その横に座っているのはお母さんだろうか。

 

「修理代はお支払いしますので」

 

傷の状態を確かめるわけでもなく、そう答えるお母さん。世の中の不幸を一手に背負っているような印象を受ける。悲壮感が漂っている。なんだか僕の方が悪いことをしているみたい。いやいや、そんなことに惑わされてはいけない。

 

「電話番号書いてもらえますか?」

 

お母さんはそういいながら手帳の一ページを破り、ペンと一緒にそれを僕に差し出した。そっちの連絡先を教えてくれるのが普通なんじゃないの?と思いながらも電話番号と名前を書き相手に渡す。相手も自分の電話番号をメモしている。

 

「ナンバー控えさせてもらいますね」

 

僕はスマホで後方から車を撮影した。正しい連絡先を教えてくれている保証はない。連絡先を受けとり「それでは後日」とだけ伝え、僕はその場を後にした。

 

僕は修理代を請求するつもりはない。へこんでいるわけでもないし、かすり傷程度だったから。相手もぶつかったことをきちんと認めてくれたから。相手はこれからしばらくは、僕からいつ連絡がくるかと不安に思いながら過ごすことになるだろう。逃げ得は許されない。修理代を請求しないかわりにこのくらいの罰は受けてくれ。そして二度とこのようなことがないように気をつけて欲しい。人は反省しないと成長できない。