ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

引退宣言

地球

草の精霊がいる。半透明で手足がついている草たち。長いのと地べたに這いつくばるのとその中間と。それぞれに引っこ抜いてくれと僕に訴えかけてくる。なぜ抜かれたいのだろうか?抜かれてしまったら君たちは終わりじゃないのか?それでも彼らは抜かれることを願い楽しそうに踊る。ただただ「抜いてくれ、抜いてくれ」と僕の心に訴えかけてくる。

 

どうらや幕引きをしたいらしい。自分たちはもうじゅうぶん、この地に根を張って生きたから、次の世代に明け渡したいのだと。自分たちで動くことはできないし、枯れることもできないから引っこ抜いてほしいのだと。うん、わかった。次の世代に繋げたいんだね。身を引くということを知っている草たち。僕もそんな日がきたらそれを見習うことにするよ。

 

幕間

 

友達とふたり。それぞれの布団を並べている。その隙間をきっちり詰めて寝るほどの仲じゃないから僕は微妙にその距離をとろうとする。

 

「もう少しこっちに詰めないと落っこちちゃうよ」

 

僕たちが布団を並べているのはまあるい地球の上。あまり端っこに行くと地球から落っこちちゃうから、もっとこっちにきたほうがいいというのだ。どうやら重力なんてものはないみたい。目の前にはスクリーン。布団を敷いて地球の表面に寝転がって映画をみようとしているらしい。暗闇に浮かび上がる巨大スクリーンにはなにも映っていない。これからどんな映画がうつしだされるのだろうか。そんなことよりも僕は地球の端っこから落ちないように必死なのだ。