ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

タイサンボクとの戦い

タイサンボク

タイサンボクという木をご存知だろうか。漢字で書くと「泰山木」となる。これは放っておくとドンドンと成長してしまうとんでもない木だ。僕はここ数年間、こいつを放ったらからしにしておいた。結果、冒頭の写真のようにとんでもなく成長してしまった。見上げるたびに「早く切らないとなぁ」と思っていた。思っている間にもそれはどんどんと成長していた。

 

五、六メートルにも成長したそれを切るには道具がいる。大きな脚立と枝きりチェーンソー。脚立はこの記事の通り今年の冬に買った。枝きりチェーンソーは先日、部品の一部が壊れたので部品を取り寄せた。取り寄せるのになんだかんだあって、一ヶ月近くを要した。

 

ようやくアイテムは揃った。暑くなる前の今の季節が作業にはもってこい。僕は作業に取り掛かった。タイサンボクの真下からそれを見上げる。思った以上に手ごわそう。チェーンソーを片手に脚立にのぼる。

 

タイサンボクというのはやわらかい木でとても切りやすい。細い枝に足をかけると折れてしまうから注意が必要だ。高く伸びた枝の一部を切り落とす。ザザザッと勢いよく倒れる。僕のうちの屋根に倒れる。そして、そのままスライドする。枝の先端が隣の家の窓ガラスをめがけて滑り落ちていく。やばい、ここままでは窓ガラスを割ってしまう。僕はとっさの判断で枝を掴む。窓ガラスに当たらないようにもちあげる。

 

「ふぅ、ぎりぎりセーフ」

 

枝先は窓ガラスのわずか1cm上にぶつかり止った。壁はさいわいにも傷ついていないよう。さらにさいわいなことに隣人は留守なよう。しかし、ここからどうすればよいだろうか。三メートル近くある生木は意外と重い。絶妙なバランスで隣の家の壁と僕のうちの屋根にそれはひっかかっている。少しでもバランスを崩せば最悪の事態にもなりかねない。

 

まずは休憩し体力を回復させる。焦ってはいいことにならない。作戦を練る僕。少しでも全体の重量を減らすのがいいだろう。バランスを崩さないように枝葉を切っていこう。バランスゲームをするかのように、どこをどう切ればいいかを考えながら枝葉を切り落としていく。

 

切り落とした枝葉だけでもじゅうぶん重い。生木だから重いのだ。乾燥すればずいぶんと軽くなるのになぁ。水分たっぷりだとこんなに重いんだ。これは人間も一緒。なにかを切り落とされ役目を終えた人間はどんどんと軽くなっていく。役割のない人生ってどんな気分なんだろう。

 

タイサンボク

 

そんな余計なことを考えながら枝葉を切り落としていくうちに中心の太い枝だけになった。なんとか持てそうだ。そうして勢いをつけてその枝を抱える。うわっ、まだ重い。僕が潰されそうになったので、慌てて地面に放りなげる。なんとか危機は脱した。隣の家に被害を与えることもなくすんだ。

 

だけども、切り落としたのは一本の枝のみ。あと三本、同じように天に向って成長を続けている枝がある。考えている間に成長するよなぁ。残りの作業は今回のような危機に陥ることがないように作戦をたてて望みたい。