ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

てんやわんや物語

うな丼

てんやわんやというのはこういうことをいうのだろう。ホテルのロビーの一角にある食事処。時は夕方。外は嵐。外へ出たくない。お腹は空いた。食事処は大混雑。時間をずらそうかとも思ったが、僕はお腹が空いていた。入って右が食事スペースで左が雑談スペースになっている。雑談スペースでもよければ席が空いているという。座ってご飯が食べられるのであればどこでも構わない。左側へそそくさと入っていく。

 

テーブルは少し低め。ソファは深め。テーブルの上にはメニューも何もない。きっと待たされることになるだろう。最初からそう思っていれば待たされることは苦にはならない。他にすることはなし。外は嵐。出かけることもできない。焦ることはない。

 

目の前に厨房が見える。ホテルのフロントスタッフも応援に入っているらしい。白い服に白い帽子のコックさんの横に普通の格好でいるホテルのスタッフ。いけないんだぁ。その長い髪の毛が料理に入りでもしたらクレームつけられちゃうよ?なんて観察しているところへようやくメニューが運ばれてくる。僕はうなぎを注文。忙しいスタッフさんに代わって僕がスタミナをつけてやるさ。

 

人は忙しいとイライラが増すのだろう。怒鳴るような品のない言葉が飛び交う。「馬鹿野郎」と怒鳴られたスタッフはいかにも鈍臭そう。「いい加減にして下さい」と眉間にシワを寄せる女性。せっかくおきれいなのに般若みたいな顔になってるよ。スタッフさんはお客さんの存在なんて忘れている。僕に目の前で観察されていることなど眼中にないのだ。忙しいと人は心を亡くすというけれど、まさにそんな状態。

 

しばらくの後、うなぎが運ばれてくる。この値段でこのボリュームであれば間違いなく中国産だろう。今回に限ってはそれは気にしないことにしよう。パスタやハンバーグのメニューと並んでいるうなぎにそれほどの期待はしていない。

 

さて、頂きます。箸がない。スタッフさんを呼びつけるのもアレだし、自分で探しに行こう。そこらへんに置いてある割り箸を勝手に持っていく。あ、醤油もない。まあ、いいか。減塩にもなるし。ところでこのお味噌汁。全く味がしない。味噌の味も出汁の味もない。どうみてもインスタントなのに。足りないから水増しでもしたのだろうか。忙しくても最低限の味付けだけはして欲しいぞ。