ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

毒をもって毒を制す

猛獣

前任者の亡霊にまとわりつかれている。前任者が所属している部署へのシステム導入を僕が検討することになった。その仕事は前任者が放棄した仕事。やったふりをして実は運用されていなかった。

 

それをまたもや僕が引き継ぐことになった。「またもや」ということは前科があるということで、僕は二度目の尻拭いをさせられている。

 

前任者のその職場でのポジションはシステム担当者ではない。だけどもシステムの知識は誰よりも持っているので、現場の人間からは実質のシステム担当者として重宝されるよう。

 

だからだろうか?このシステム導入の検討メンバーに彼の名前があった。はぁ?この仕事を放棄した張本人だろう?そんな人間と一緒に仕事をする気はないぞ?

 

全く理解できないが、この部署はそんな裏話なんて知らないのだろう。

 

メンバーから外してもらうように自分の上司を通じてお願いしているのだが、なかなかメールのTOから彼の名前が消えない。彼の名前をみるたびに脈はあがり、頭の後ろのほうがモヤモヤとしてくる。さて、どうしよう。

 

僕のチームはつい先日、チーム編成が変更されたばかりで、その中には前任者の天敵もいる。仮にマングース次長としよう。

 

前任者は過去にそのマングース次長の下で働いていた。そのときから前任者のわがままぶりは凄かったらしい。それを押さえつけていたのが、マングース次長だった。マングース次長は猛獣使いだったのだ。

 

時は経ち、前任者の上司は代わった。それが今の僕の上司だ。僕の上司は猛獣使いにはなれなかった。解き放たれた猛獣は人々に牙を振るうようになった。僕はその犠牲者のひとり。このままみすみすとやられるわけにはいかない。

 

僕はマングース次長にふたたび猛獣使いになってもらうようにお願いした。

 

「助けていただきたく」

 

マングース次長は快く引き受けてくれた。頼られて悪い気がする人はいないだろう。マングース次長は猛獣使いとしての威力を最大限に発揮できる場を再び得たのだ。

 

この作戦は、毒をもって毒を制す形となる。僕自身がその毒に侵される危険性もじゅうぶんにはらんでいる。危険なカケなのだが、このくらいの荒療治をしないと対抗できない。

 

野に解き放たれた猛獣をふたたび封印することができるのか。僕はマングース次長に期待をしている。

 

そして、後日。

 

マングース次長に恐れをなしたのかそれから後の会議に猛獣は現れなかった。

 

マングース次長はSEとしての実績があるだけに質疑応答が的確だ。事前にどんなことを調べておくべきか。そんな下準備に関しても的確にアドバイスしてくれた。

 

それに対して僕の上司といったら。いきあたりばったりの性格だから事前準備なんてしない。なんとなくで進める。「おっしゃることはごもっともですが、だからどうだというのですか?」と感じる発言が目立つ。そんな抽象的なあるべき論はどうでもよくて、僕らは今、このジョブを具体的に検討し、前に進めたいのだ。

 

僕のチームには僕の上司やマングース次長よりもさらに上にリーダーがいる。そのリーダーとはじめて先週、お話をした。周囲から聞こえてくるリーダーの評判は決していいものではなかったが、僕が直接、接した感じでは悪い人ではないように思えた。

 

「実はマングース次長をきみたちの実質の上司にしようかと思っているんだ」

 

なんというタイミング。僕はこのプロジェクトに関しては自らマングース次長に上司役をお願いした。それが偶然にもリーダーの思いと一致していたようだ。

 

この件に関してはチームメンバーは誰も知らないはず。多分、反対するだろうと思う。だけども僕がこのプロジェクトでマングース次長とうまく関係性を保てたらみなもそこまで反対はしないかもしれない。

 

今の上司は人がよすぎた。失敗しても誰も悪くないという。「僕が悪者になればいいんだから」となき罪を背負う。それじゃ失敗を繰り返すだけだよ。失敗をした人が自ら反省し、その原因を考える。そうしないと人は成長しない。人の罪を被ることは正義ではない。悪だ。我が子が罪を犯したからってその罪を親が被ってすむ問題ではなかろう?

 

 

それに比べてマングース次長はダメなものはダメだとはっきりいう。それが時として敵を作る。頑固にもみえるが、理不尽なことをいう人ではない。こちらが仁義を通せばそれに答えてくれる。

 

一長一短あるが僕にはマングース次長のやり方があっているように思う。吉とでるか凶とでるか。