ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

ひきこもりが死んだ

オカヤドカリ

オカヤドカリさんがお亡くなりになった。宿を捨てた状態。裸のままだった。 

 

 

この記事を書いたのが一ヶ月前。その後、元の殻に入ったり脱いだりを繰り返していた。やはりヤドカリの本来の姿というのは宿に入った状態が正しいのであって、裸のままというのは異常な状態だったのだと思う。自然界のオカヤドカリであれば殻を抜いだ瞬間に敵に襲われてしまうからね。

 

最大の敵は人間らしい。ふるさとの沖縄では、オカヤドカリは釣りの餌にされてしまうらしいのだ。人間ってのは酷いやつだ。

 

 

ちょうど一年前にも同じような不幸があった。長年連れ添ったメダカがお亡くなりになったのだった。餌をやろうと近づけば、水面に顔を出してくるかわいいやつだった。

 

それに引き換えオカヤドカリはメダカ以上の長い付き合いがあるのに一向に打ち解けようとしてくれない。僕の顔を見れば殻に閉じこもってしまうようなやつだ。可愛げがない。 

 

 

いちばん最初にオカヤドカリを飼ったときには全部で六匹いた。皿の上に乗っけられたロブスターのように真っ赤な色をしたオカヤドカリがいて、そいつがいちばんのお気に入りだったのだが、あっという間に脱走してどこかに行ってしまった。オカヤドカリは脱走の名人なのだ。

 

飼育下にいるオカヤドカリの寿命は十年程度だという。それを考えれば、亡くなったオカヤドカリは、まあまあその人生をまっとうできたのではないかと思う。できれば、沖縄の自然の中で一生を過ごしたかったのだろうけれど。

 

今、水槽の中にいるオカヤドカリが最後の一匹だ。今は砂の中に潜ってしまっていて、その存在は確認できない。ほじくり返すわけにもいかない。脱皮中かもしれないし。そっとしておいて欲しいのかもしれないし。 気が向いたら、また僕の前に姿を表してくれるはずだ。