ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

クラクションの鳴り響く街

クラクション

その街はやたらとクラクションの鳴り響く街だった。たえまなくクラクションが鳴り響く。それを鳴らす理由はただひとつ。自分ではない誰かへの警告。自分は正しくてお前は間違っているのだから、それに気づけとクラクションを鳴らす。

 

街全体がイライラしているのだ。信号待ちの車。信号は赤から青へ変わる。前の車の発進が一秒でも遅れると、すかさずクラクションを鳴らす。

 

信号は青に変わっているじゃねぇか。早く前に進めよと。

 

人を馬鹿呼ばわりする。なにをそんなに急いでいるのか。一秒の遅れが長い人生においてなんの影響があるのか。

 

映画の上映開始時間になど間に合う必要はない。どうせ長い長い予告を見せられるのだから。どうせ「上演中のおしゃべりはやめて」とか「携帯はOFFにして」とか当たり前のことを当たり前のようにスクリーンで忠告されるだけなのだから。前の車にクラクションを鳴らし続ける人間は、前の人の椅子をも蹴りまくるのだろう。その頭が邪魔だからといって。

 

クラクションはむやみやたらと鳴らしてはいけないと自動車学校で習った覚えがある。そんな記憶はとうに飛んでしまったのだろうか。それとも傲慢な人間になったがゆえの行為か。