ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

厄介な存在

No

「いい人」って僕にとってはいちばん厄介な存在。絶対にノーと言わない。ぼんやりとした言葉でそれを濁す。「どうしてはっきりと言わないんですか?」と問い詰めても、それすら「うーん」「いや、まあ」と逃げるのだ。おかしなことをおかしいと言わないものだから、相手はいい気になる。「こいつは責めたって反撃しないぞ。だったらとことんまで追い詰めてやれ」弱さを見せたら終わりだと思う。

 

僕の真上にいる上司がまさにそういうタイプ。守ってくれるはずの存在なのに、その役割を果たさない。結果、僕の上司は上からも下からも責められる。ついでに横からも責められているみたい。

 

僕は今の上司にはそういう役割は求めていない。諦めたのだ。考えを改めればどうにかなるというものではなく、そういう形にできあがってしまったのだ。紙粘土を今更こねようったって、カチンカチンに固まってしまっていてどうにもなりやしない。無理矢理にどうにかしようとすれば、粉々に砕け散ってしまうのがオチ。

 

あきらめの境地に達するまでは試行錯誤した。徹底的に議論をした。しかし、上司はどう考えても理屈が通らない敵の意見を真っ向から受け止め、どうにかしようとするのだ。「そもそも、相手がいうことって矛盾だらけですよね?」「いや、でも相手がそういうんだから、なんとかしないと」噛み合わない話の繰り返し。貸してもない金を返せと言われて、ポケットマネーから出しているようなもの。それってかつあげじゃん。でもさ、相手が金返せっていうからさ。はぁ...。

 

諦めた僕は議論をすること自体もあきらめた。まあ、勝手にやってくださいよ。それでも、上司は僕に相談してくるからついつい議論をはじめてしまいそうになるんだけど、ふと冷静になり口をつむぐ。「議論したって仕方がないですからやめましょうね。どうぞお好きになさい」上司は「うん」とうなずくだけ。

 

上司は過去にちらっとこんなことを言ったことがある。「僕はね、子どものころに理不尽に頭ごなしに怒られることが多かったから、人に対して怒ることはしないんだ」相手は親だったのか先生だったのかは知らない。踏み込む話題ではない。きっと心の傷なのだ。この選択肢が正しかったのかどうかはわからないが、まあ普通に仕事してるわけだし、期待されている存在らしいから、これでいいんじゃないかと思う。って、なぜこんなに偉そうなんだ、僕は。