ミニマム コラム

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「空白の叫び」を読んでの感想 少年犯罪の物語

空白の叫び

空白の叫び」は犯罪を犯すことになった少年たちの物語。「胎動」「接触」「発動」の三部で構成されています。上下巻あわせて1100ページ以上。ボリュームはありますが、一気に読ませられました。

 

物語の冒頭にこんな但し書きがあります。

 

この物語は2000年の少年法改正以前を舞台にしています。2000年の少年方改正とはなんだろう?

 

  • 少年の厳罰化
  • 事実認定手続の改正
  • 被害者に対する対応

 

刑事処分の可能年齢が16歳以上から14歳以上となった部分が大きいらしい。刑事処分というのは犯罪に対して刑罰を科する処分のこと。ということは14歳より下であれば罰せられることはないということ。人を殺しても更生の機会が与えられるだけということだ。

 

この物語に登場する中学生の少年三人が人を殺すまでを描いたのが第一部「胎動」更生のために少年院に入れられ、そこでの生活を描いたのが第二部「接触」接触してしまった三人が新たな犯罪を犯すのが第三部「発動」

 

ふつうの少年が人を殺す。誰にでもある感情だと思う。だってさ、子どもなんてさ、蟻とか平気で踏み殺すじゃない?バッタの足が一本取れようが、まるでおもちゃが壊れたくらいにしか思ってないじゃない?「死ねばいいのに」なんて考えたことない人間なんているのかなぁ。憎しみや怒り、妬み嫉み。どれもが人を殺す理由になる。だけど、やっぱり人だけは殺しちゃいけないっていう理性が働く。

 

り‐せい【理性】

  1. 道理によって物事を判断する心の働き。論理的、概念的に思考する能力
  2. 善悪・真偽などを正当に判断し、道徳や義務の意識を自分に与える能力

 

僕はたまたま今までこの理性とやらが失われなかっただけだ。少年たち三人は外れてしまった。この違いはなんなのか。「運が悪かった」「魔が差した」なんて言葉で片付けてしまっては被害者は浮かばれない。そんなことで殺されるなんてたまったものじゃない。 

 

少年法では守られるが世間の目は冷たい。少年法で守られているからこそ、それが許せずにいる人間もいる。特に被害者の側。許せない。絶対に許さない。と、それが生きる糧になる。僕だってその立場になれば、そうならざるを得ないと思う。そう、ならざるを得ない。 好きでそうなったわけじゃない。コントロールできなくなるのだ、きっと。

 

ただね、全く関係のない人間が正義のヒーローぶって、自らのこぶしを振り上げるのはどうかと思う。それって単なる暴力じゃん。いじめと同じじゃん。