ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

代わりなんていくらでもいるのだから

代わり

「ごめんな、急に参加できなくなって」

 

飲み会当日、朝のことだった。そっか、参加できなくなったのかと残念に思った。多分、僕の顔は引きつっていたと思う。ようやく、ざっくばらんにお話ができると思ったのに。僕は会社の飲み会は嫌いだが、この人とは話をしてみたかった。面白いくらいに考えかたが一致する人だったから。

 

どうやら、昨日なにがしかのトラブルが起きたらしい。そのために飲み会には参加できなくなったのだと。まあ、これで永遠に機会を失われたわけでもなし。

 

飲み会自体は少ないメンバーで行われた。その冒頭。

 

「同じ部署の人が亡くなったんですよ。会社にこないから不審に思って電話をしたけど繋がらない。警察立会の元でその人の家に行ってみると、布団をかぶったまま亡くなっていたそうです」

 

そういうことだったのか。だから誰も詳しいことは教えてくれなかったのだ。こんなことは軽々しく口にすることではない。その人は単身者だったらしい。原因は不明。きっと心筋梗塞とか無難な死因名をつけられるのだろう。僕の父がそうだったから。

 

会社との繋がりがあったからこそ、こうやって早期発見された。なにかあったんじゃないかと心配してくれた人がいたからこそ、すぐに見つかった。無断欠勤が多い人間であれば「いつものことだ」と放っておかれたかもしれない。人というのはこんなにもあっさりと死んでしまうものなのだ。

 

会社では属人化が問題になっている。かくいう僕の立場もそう。仕事がひとりに偏っており、その人がいなくなったら困るという立場の人間が多くいるのだ。だからといって二人体制にすれば、単純にコストは倍になる。ビジネスであるからにはその状態も困る。

 

とはいえ、それで仕事が回らなくなるということはない。なんとかなるのが現実。僕の上司もある日突然、亡くなった。だが、なんとか乗り切った。だから僕が突然いなくなっても現実的にはどうとでもなるのだろう。今回、亡くなった人も同様。残念ながらビジネス上は代わりはいくらでもいるのだ。

 

属人化を防ぐためにシステム化に取り組んでいるのが僕らのチーム。システムの力でなんとかしてくださいと頼まれるケースが増えてきた。言い換えれば、僕の会社もようやくそのレベルになったということだ。でもね、システムと言っても、結局それを作るのは僕ら人間。システム化という属人化。システムを作ったから属人化が防げるということでもないのだ。